2012/4/16
観光客で賑わう、京都祇園にて、
非常に痛ましい事件が発生しました。
亡くなられた方、遺族の方に
心より哀悼の意を捧げたいと思います。
「持病の発作に起因するの」か、
それとも「一定の意思に起因するの」か、
加害者は死亡しましたが、これから解明が進むものと思います。
ただ、このたびの事件を契機に、企業における
在籍者の健康状態の把握、管理はもちろんですが
採用段階での求職者の健康状態の把握についても、
より深く、踏み込んで考えざるを得ないと
言えるのではないでしょうか。
厚生労働省は、「公正な採用選考について」の中で、
http://www2.mhlw.go.jp/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm
採用選考時に配慮すべき事項として、
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次のaやbのような適性と能力に関係がない事項を
応募用紙等に記載させたり面接で尋ねて把握することや、
cを実施することは、就職差別につながるおそれがあります。
<a.本人に責任のない事項の把握>・本籍・出生地に関すること
(注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を
提出させることはこれに該当します)
(略)
<b.本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握>
・宗教に関すること
(略)
<c.採用選考の方法> ・身元調査などの実施 (注:「現住所の略図」は生活環境などを
把握したり身元調査につながる可能性があります)
・合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
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としています。
<C.採用選考の方法>に記載された内容に関して、
反対に言えば
「合理的・客観的に必要な健康診断の実施」は
構わないと考えることができます。
また、一般的な健康診断の内容に含まれていない
「持病」の有無については、本人及び家族からも聞き取り調査をし、
「持病の有無に関する確認書」等を提出してもらい、
採用選考時の判断の一つとすることを
検討する必要があるのではないでしょうか。
これは、採用時において持病保有者の差別との
指摘を受けることもあるかもしれませんが、
一大事が発生してからでは、遅すぎます。
「採用時」にどこまでできるのか?やるべきか?
法律的に大きな検討課題であります。
その一方で、いったん採用した後には、
企業には、広範囲な労働契約上の義務が生じます。
自動車運転、危険物取扱等の業務を行う企業において
「採用時」の判断は重大です。