2020/3/8
コロナウィルスの感染拡大により
実体経済への影響が日増しに大きくなっています。
企業において、感染拡大の未然防止策として
「微熱や咳をする社員に
自宅待機を命じてもよいか」という
ご相談を頻繁に受けています。
関連質問と合わせQ&A形式で記載します。
Q1
自宅待機を命じた場合、有給を使うように
指示してよろしいでしょうか。
A1
以下のように区分することになります。
①コロナウイルスに感染した社員
→都道府県知事による就業制限により
休むことになります。この場合、
本人が「有給休暇を使用したい」と
申出れば、有給休暇の取得日となります。
(Q2の休業手当を企業は支給する義務はない
またQ3の傷病手当金に支給対象者となる)
②熱があるが、コロナウイルスには
その時点で、感染していない社員に
企業が出勤停止を命じた場合
→この場合、企業側の指示により
休業させることになるため、
原則、労基法に基づく
「休業手当(平均賃金60%以上)」の
支給が必要です。
なお、休業手当(平均賃金60%)では無く
社員が有給休暇を希望すれば、
有給休暇を請求することはできます。
よって、企業から「有給を使いなさい」と
指示できません。
Q2
企業全体が閉鎖となった場合、
平均6割の給与を支払う義務が
あると聞いたのですが、
単純に月給×0.6でよいのでしょうか。
A2
労働基準法では、
事業主の責めに帰すべき事由により、
労働者を休業させる場合は、
平均賃金の60%以上を
支払わなければならない。と定めています。
平均賃金は、原則、次の計算方式により算出します。
平均賃金
=直近3ヶ月の総支給額÷その期間の総暦日数
※総暦日数は、直前の賃金締切日から起算
また、休業手当の支給対象日は、
「勤務するべき日」が対象です。
よって、実際、1ヶ月丸々、休業した場合は、
労基法が定める最低ラインとしての
「平均賃金の60%」とは、結果的に、
月給×0.6より、低い額になります。
例)月給30万円(3ヶ月とも同額)で、
直近の総暦日日数が90日、
休業する月の「勤務するべき日」が月間22日の場合
①平均賃金=30万円×3ヶ月÷90日=10,000円
休業手当は平均賃金60%以上支払い義務
②休業手当1日単価=10,000円×0.6=6,000円
③6,000円×22日=132,000円
※ なお、上記は原則の計算であり、
賃金が日額や出来高給で決められ
労働日数が少ない場合、
総額を労働日数で除した6割に当たる額が
高い場合はその額を適用する。(最低保障)
平均賃金算出の関連情報↓ご参照ください。https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/saiteichingin_chinginseido/heikinchi.html
Q3
「休業」に対する補償など、
現在政府が周知している制度の利用方法が、
よくわかりません。
どこに(ハローワーク、健康保険、労災保険など)に、
誰が何を請求するのでしょうか。
A3
政府(または制度運営団体)が補償するケースと
相手方は、次のように想定されます。
①コロナウイルス感染者
→協会けんぽ等の医療制度にある
「傷病手当金」が、休んだ社員に対し、
支給されます。(概ね給料の67%)
なお、医療従事者がコロナウイルスに対応し、
感染した方には労災保険の適用の可能性があります。
②企業を一時閉鎖し、社員に「休業手当」を支給した場合
→ハローワークに雇用調整助成金を
申請することにより、
企業に対し、助成金が支給されます。
支給額は中小企業の場合、休業手当の2/3
(3月8日現在)
③小学校等に在籍する子供が休校したため、
勤務できなくなった社員(保護者)がいる場合
→年次有給休暇とは別に「特別休暇」を付与し、
かつ賃金を全額補償した企業に対し、
労働局(実際の申請先は未定)から
賃金支払額に応じて、
1日上限8,330円を企業に対し支給。
コロナウイルス関連のそのほかの
助成金は以下の通りです。
1.時間外労働等改善助成金(テレワークコース)
2.時間外労働等改善助成金(職場意識改善特例コース)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisiki.html
ご参照)コロナウイルスQ&A https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q4-2
まだまだ、これから問題が増えてくると思いますが
取り急ぎ以上です。よろしくお願い申し上げます。