2015/2/5
労基法 改正について第1弾
〜年次有給休暇の取得5日、残業割増率50% について〜
第189回国会(常会)が開かれています。
ISILによる人質事件について、質疑が連日行われているようですが
今国会では、労働基準法の改正案が上程される予定です。
企業運営に関し、とても重要な事項が含まれていますので
現状のご報告(第1弾)をします。
1.年次有給休暇について
有給取得率のアップを図るため、「5日」は、実際に取得できるよう
企業に取得義務を課すことになりそうです。
以下、新聞記事からの引用
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読売新聞2月3日(火)22時45分配信
政府は今国会に提出予定の労働基準法改正案で、
有給休暇の消化を促すため、企業に対して、
従業員に取得時期を指定することを義務付ける日数を、
年5日とする方針を固めた。
週内にも開く厚生労働相の諮問機関・労働政策審議会の分科会に提示する。
有休は現在、従業員が休みたい時期を指定して請求する仕組みで、
消化率低迷の要因となってきた。そのため、政府は有休の一部について、
取得時期を指定する責任を企業に負わせ、違反した企業には罰則を設ける。
企業が時期を指定する際には、従業員の希望を聞く制度にする。
(引用ココまで)
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企業規模、業種の設定をどうするのか?それともしないのか?
詳細の情報が未だ不足している状態ですが、
シフト制を採用している業種などでは、
大きな業務体制の変更が必要となります。
違反した企業には、罰則が設けられるとのことで、
対応が出来ていない場合、社員さんが労働基準監督署へ相談に行けば
すぐさま、労基署からの行政指導を受けることが予想されます。
2.月60時間超の割増率50%以上の中小企業への適用拡大
残業時間に対しては、原則25%以上の
割増賃金を支払うことを義務付けされていますが、
平成22年改正にて、すでに60時間超の
残業時間に対し、50%以上の割増賃金を支払う法律が出来上がっています。
厚生労働省リーフレット↓
http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1e.pdf
現在は、大企業(資本金・社員数にて区分)のみが、その対象となっていますが
今回の改正で、それを中小企業にも適用拡大しようとするものです。
長時間労働を抑制するための措置ですが、
中小企業においても
60時間を超える残業があれば、人件費の増加を招きます。
運送業、コンピュータープログラム作成、設計事務所、飲食業等
長時間労働が業態として恒常的に行われているところは
対策が必要です。
→対応できない企業の法律違反や社員さんからの相談など
これもまた、労基署への相談が増えそうです。
注意)60時間超えに、「法定休日労働時間」は含むのか?
⇒含みません。別カウントです。
*法定休日とは、1週間に1回(または4週間に4回)取るべき休日
では、会社の「所定休日労働時間」は、60時間超えに含むのか?
⇒はい、含みます。土日が休みの会社において、
残業時間のカウント=月曜から金曜までの残業時間数+土曜の労働時間数
(1週間の起算日を日曜日とする場合)
企業経営者にとっては、非常に悩ましい問題が
発生することになりそうです。
もちろん過労死に至るような「働かせ過ぎ」は、絶対にダメですが、
私個人的には、「働くこと」を「悪い事」と捉える風潮が
余りにも強くなり過ぎることを懸念します。
「働くこと」を肯定する⇒働くことを喜びと感じる業務を
企業経営者が作っていく責任があると思いますので、
そこへの取り組みが、法律の強制的な変更とは
別に大事だと考えています。
しかし、法律の変更を、
避けて通るのではなく、しっかりと対応する気構えで
企業の体制を構築する必要もありますね。
企業の労務管理上の健全性は、
働く人にとって、大きな指標となります。
これから益々予想される人手不足にも対応できなくなります。
法律の要点を掴み、自社ならどうするのか。を
企業経営の皆様と一緒に検討して行きたいと私は考えます。