2006/3/9
言葉は、不思議です。
製造業の顧問先Aさんとの電話で、
「外注さんが仕事中に怪我をしたときは
労災保険使えますか?」と質問が出た。
「外注さん」には、労災保険は使えません。
なぜかというと「外注」とは、
例えば製造業でいうと、一定の仕事量を
定めた期間内に完成させて納品することにより
対価を貰う。と定義できます。
途中経過などには、依頼主は一切関知せず、
朝から晩まで一生懸命仕事してるかなどの管理を受けず、
また作業内容に関する指揮命令も受けない。
これらは、依頼主には関係のないことです。
労災保険は「労働者」を対象にしています。
「労働者」とは労働基準法第9条に以下のように
定義されています。
「この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、
事業又は事務所(以下「事業」という。)に
使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」
労働者か否かは判例もあり、判断の要するところでは
ありますが、実態が「外注」であれば労災保険の対象外です。
今回の質問で「外注」とAさんが言うので
そのような説明をするのですが、
実は「外注」とは名ばかりなのです。
私 「時間管理ですが例えば出勤簿もしくは
タイムカードをつけていますか?」
Aさん「はい、つけています」
私 「作業内容はその都度指示されてますか?」
Aさん「はい、その都度こちらが指示します」
私 「お金の支払いは?どんなかんじですか?」
Aさん「日給です。1日***円です」
私 「所得税は源泉徴収していますか?」
Aさん「いえいえ、しませんよ。外注ですから」
私 「・・・」
その人は「外注」ではなく、りっぱな「労働者」です。
なぜこうなるかの理由は分かっているのですが
詳しくは書きません。
ある言葉を使うことで「人」が定義づけされ
世間一般の共通認識をもってしまいます。
先入観で話を進めると本質が隠れてしまいます。