労災保険 特別加入 給付基礎日額の増加

◆労災保険 特別加入 給付基礎日額の増加

 (平成25年9月より変更)

そもそも「労災保険」の正式名称は

労働者 災害 補償 保険法です。

労働者が、仕事中・通勤中に、負傷等した場合に

利用できる保険です。

よって、「経営者」は、本来、保険の加入対象者ではありません。

しかし、中小企業において、

経営者は、作業現場等に入り、

労働者と共に汗を流していることが多い。

その経営者が、仕事中(通勤含む)に負傷等した場合、

企業運営がたちまち、不安定になるため、

経営者にも、労働者と同じ労災保険の

補償を受けることができるよう、

中小企業をバックアップするため、

作られた制度と言えます。


なお、労災保険の特別加入制度には、次の4つの類型があります。

1.中小事業主版

2.一人親方版

3.特定作業従事者版

4.海外派遣者版(海外派遣者は、経営者が対象ではありません。)

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/kanyu.html
↑「労災保険への特別加入」厚生労働省HPより


上記の記述は、主に1.中小事業主版についてでしたが、

弊所でも特別加入している経営者様が

仕事中に負傷等を場合、

労災保険の申請を代行していますが、

民間保険と異なり、補償期間に日数制限等がなく、

しっかりと治療に専念できるため、

(残念ながら)大きな負傷になればなるほど

安心できる制度です。

※ただ、そうは言っても、治療効果が

これ以上認められないと労働基準監督署が判断した場合には、

補償の「打切り」が、行われます。


良い仕組みだと私は思うのですが

この制度を利用するためには、次の条件があります。

1.労働保険の事務手続きを「労働保険事務組合(以下「事務組合」)」に

  委託する必要がある。

  ⇒いくら自社に事務処理能力があっても、

   事務組合に労働保険に関する手続きを委託する

   必要がある。

2.従業員数が一定以下の場合でしか、

  事務組合に労働保険事務を委託することが出来ない。

   常時使用する労働者が

   ・ 金融・保険・不動産・小売業にあっては50人以下

   ・ 卸売の事業・サービス業にあっては100人以下

   ・ その他の事業にあっては300人以下

   (事業の種類により上限の従業員数が異なります)

   ⇒特別加入を利用したくても、事務組合に事務を委託できない。

労働保険事務組合とは↓
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhoken01/kumiai-seido.html

この条件をクリアする(構わない)のであれば、

1.中小企業版 労災保険「特別加入制度」を

利用することができます。
   

そして、平成25年9月1日より

特別加入者の給付基礎日額*について

これまで、上限額が、20,000円でしたが

・22,000円

・24,000円

・25,000円

が追加されました。

より高い補償を受ける選択肢が増えたことになります。

給付基礎日額*とは

 特別加入の場合、加入者本人が「給付基礎日額」を選択し、それに所定の

 保険料率をかけて算定された保険料を支払うことになっています。

 特別加入者に対する保険給付額は「給付基礎日額」によって算出します。

⇒選択した給付基礎日額に応じて、保険料が変動し、

 また、実際に負傷等のため休業した場合等においても

 選択した給付基礎日額をベースに補償額が決まります。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/130807-1.pdf
↑この件に関するリーフレット 厚生労働省HPより

通院費の請求について

労災保険で通院費が請求できます。

平成20年11月1日以降の通院から適用です。

 (大幅に支給要件が緩和されました)

 

仕事中に被った傷病の治療のため

病院へ通院する場合、労災保険制度から

通院費が次の基準で支給されます。

(プライベートの事由が原因の

風邪や骨折等、私傷病の治療の

ための通院費は対象外です)

◆支給対象となる通院は、住居地又は勤務地から、
 原則片道2Km以上の通院であって、
 @からBのいずれかに該当する場合です。

   @    同一市町村内の医療機関へ通院したとき

   A    同一市町村内に適切な医療機関*が無いため、
      隣接する市町村内の医療機関へ通院したとき
      *「適切な医療機関」であるかは、労働基準監督署が判断します。

   B    同一市町村および隣接する市町村内に
      適切な医療機関が無いため、
      それらの市町村を超えた
      最寄リの医療機関へ通院したとき

 

◆対象となる通院手段および支給される金額とは

 

  ・公共交通機関(通院ごとに支払った費用)

  ・マイカー(ただし1km当たり37円を支給)

  ・タクシー(タクシーの利用が必要であると労働基準監督署が認めた場合)

 

◆請求方法

 

  療養の費用請求書(様式第7号)を使用して請求します。

  (タクシー以外は領収書等の添付は必要ありません)

自動車保険と労災保険 その2

仕事中に交通事故が発生した場合 その2です。

では、どちらかが一方的に悪いのではなく、
過失割合が例えばこちらが40%悪く、
相手方が60%悪いなどの
ケースは、判断が難しくなります。

■ まず、治療費をどうするか?

労災保険で処理した場合、
治療費は過失割合に関わらず
全額給付を受けることができます。
(故意の事故等は除きます)

では、相手の自賠責保険
(治療費、休業損害、慰謝料等、
合計120万円までの補償限度あり)
を使う場合どうなるか?

これは、怪我が軽傷の場合ならば良いですが、
入院が長引いたりすると自賠責の120万円の
限度枠を治療費に費やしてしまい
休業損害へお金を回すことができなくなります。

そうなると相手方の任意保険を使い
休業損害を補償してもらうことになりますが、
過失相殺(こちらの悪い分は補償が減額されること)
がありますので、こちらの過失割合が高い時には
治療費は「労災保険」で処理した方がよいと思います。
(自賠責の120万円の枠を休業損害の請求に残すため)

■ 次に事故で仕事を休むことになった場合の
 休業補償(休業損害)についてですが、

自賠責を使い休業損害を請求する場合、
自賠責の枠を治療費で使い切らないようにして、
休業損害と慰謝料請求額が合計120万円以内に
収まるのであれば、こちらが40%悪くても、
休業損害として給料の100%を補償してもらえます。
(ただし収入を証明した場合でも1日18,000円が限度)

自賠責は、こちらが重過失でないならば
(70%以上の過失)過失相殺ありません。

しかし、重症で休業が長引くケースでは、
自賠責と任意保険の一括請求をします(任意一括といいます)。
この場合は、休業初日から過失に応じて
補償額が減額されてしまいます。
(120万円の枠までは、100%補償してもいいと
思うのですがなぜでしょうか??)

一方、労災保険で休業期間の補償を
請求する場合は、給料(平均賃金)の80%が
(休業補償給付60%+休業特別支給金20%の合計)
休業4日目から補償されます。(故意を除きます)

労災保険には、過失相殺はありません。
よって最低80%の補償は確保できます。
仮にこちらが40%悪くて休業が長引きそうならば、
治療費も休業補償給付も労災保険が
良いのかなと思いますが、
過失割合によるので、すべてのケースには当てはまりません。

注意が必要なことは、自動車保険には慰謝料がありますが、
労災保険には慰謝料の給付はありません。

不思議なのが労災保険の特別支給金制度です。

原則的にはその1に書いたとおり、
事故の影響で仕事を休んだ場合、
自動車保険から休業損害を補償してもらうと
労災保険からの休業補償給付
(平均賃金の60%)は出ません。

しかし自動車保険から休業損害を
補償されても、労災保険から
休業特別支給金として給料(平均賃金)の
20%が支給されます。

例えば相手方が100%悪いケースでは、
相手の自動車保険で休業損害を
100%補償してもらった上に、
休業特別支給金が20%支給されます。

つまり120%補償!通常働いている時
よりも収入が多くなってしまうのです。
(これは、おかしいと思いますが・・・)

自動車保険と労災保険 その1

従業員さんが、業務中(または通勤途中)に
交通事故にあった場合どうするか?

具体的に言うと、どの保険
(相手方の自動車保険もしくは会社の労災保険)で、
何を【主に治療費、休業損害(休業補償給付)、慰謝料等】
をどう申請するのか。

最初に、相手方の自動車保険の内容に
ついて確認が必要です。
通常は自動車損害賠償責任保険(以下「自賠責」)&
自動車任意保険をセットで加入していると思います。

前提条件として、
「自賠責&自動車任意保険」と「労災保険」とで、
同一の事由に保険が重複しておりる事はありません。
(例えば、事故の影響で仕事を休んだ場合、
自動車保険からの休業損害と
労災保険からの休業補償給付は、両取りできません。)

またどの保険で何を補償するかは、本人に選択権があります。
警察や保険会社や相手方に強制されるものではありません。

仮に相手方が100%悪い場合(俗に言う100対0)は、
こちらは被害者ですから、相手の自動車保険にて全額賠償
(治療費、休業損害、慰謝料、後遺症等)してもらうことが
できます。
こちらが動く必要はありません。
(ただしこのケースで被害者が困ることがあります)

反対にこちら(従業員さん)が、仕事中にわき見運転等で
追突事故を起こし、運転者自らが怪我をした場合、
相手には過失無いので、相手の自動車保険を
使うことはできません。

そんな場合には労災保険
(治療費、休業補償、後遺症等。
労災保険には慰謝料は存在しません)を使います。

こちらが全面的に悪い時に「保険」が使えるのか?
と思われるかもしれません。
しかし労災保険法第十二条の二の二では
「労働者が、故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡又は
その直接の原因となった事故を生じさせたときは、政府は、
保険給付を行わない。」となっています。

つまりワザと追突したのなら労災保険は使えないが、
そうでなければ、「労災保険を使うことができる」のです。

次回は応用編を書きたいと思います。

転院日について

2006/1/7

仕事中に怪我をして「病院で受診」するとき、
労災保険から治療費が支給されます。(本人の窓口負担は無し)
その怪我により仕事を休むとき、4日目以降について
労災保険から休業補償が支給されます。

ここからが本題です。

会社の近くの病院へ担ぎ込まれ「入院」した後で、
症状が落ち着いたので自宅近くの病院へ
「転院」する場合などには「転院日」に注意が必要です。
(なお、転院しても労災保険で治療は可能です)

例えば、
金曜日に退院し週明けの
月曜日に転院先の病院を受診したとき、
元の病院の「退院日」と転院先の病院の「初診日」の間に
空白期間(上の例では、土曜日と日曜日)があると、
その期間(土曜日と日曜日)の休業補償を受けることができません。
(土曜日と日曜日の前後の日については受給できます)

なぜなら、その期間は転院前、転院先どちらの医師も
その患者を診ていないから、休業(労務不能かどうか)に関して
医師としての証明を書いてくれないからです。


わずか2日分の休業補償と言えばそれまでですが、
せっかく貰えるものですから、転院した場合は
その日もしくは翌日には次の病院を受診しましょう。