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2015/4/1

新年度になりました。
桜も咲き始め、春満開が間もなくやってきそうですね。

さて、企業においては、「異動」の季節でもあります。

本日は、
異動=転勤した社員さんの「残業時間数の管理」についてお話しします。

【前提】
労基法 36条(抜粋)
使用者は、過半数労働組合又は過半数代表との書面による
協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、「労働
時間」又は「休日」に関する規定にかかわらず、その協定で定
めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させる
ことができる。(いわゆる「36協定」)

協定に延長する時間数を記載しますが、

1ヵ月45時間以内の時間数
1年360時間以内の時間数

を延長できる「限度時間」として選択の上、
記載しているのが一般的なケースかと思います。
(ただし、変形労働時間制採用の場合、延長できる時間は
上記より、少ない時間数)

参照↓
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0131/4643/1agreement.pdf

また、特別条項※を追加して
1年6回を限度として、延長できる時間数を再度設定していると思います。

※特別条項とは
36協定を締結する際に、
「臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない
特別の事情が予想される場合に、限度時間を超える時間を
延長時間とすることができる。」というもので、合わせて、
限度時間を超える延長時間数やその場合の割増率を記載する。
ものです。

参照↓
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0131/4644/ryuuiten.pdf

【本題】
さて、例えば、こんなケースについて

1.本社A→支店B 4月1日付異動

2.36協定の起算日 本社・支店とも7月1日から1年間
  (便宜上、7月からとします。)

3.本社A 協定上の限度時間1カ月40時間 1年360時間
(特別条項付 1年6回を限度として1カ月70時間 年間600時間まで)

4.支店B 協定上の限度時間1カ月45時間 1年300時間
(特別条項付 1年6回を限度として1カ月70時間 年間500時間まで)

となっている場合
(36協定は、事業所ごとの締結のため時間数が異なることも有り得ます)

◆社員Cさんが、支店Bに転勤した場合

原則は、異動後の支店Bの協定が適用されますので、
1カ月の残業時間の限度は「45時間」までとなります。
(本社では40時間までだった。)

ところが、
本社Aにて、協定期間中(在籍9か月)、
すでに特別条項の適用を6回受け、

かつ、残業時間数の総合計が550時間

(70h×6回+45h+45h+40h)だった場合、

どうなるのか??

新たに、リセットされ、
支店Bの協定に従い、協定終了期日まで
支店Bでの特別条項の適用を受けるのか?

という疑問が発生します。

◆考え方(労働時間の通算)

労基法第38条(時間計算)
労働時間は、事業場を異にする場合においても、
労働時間に関する規定の適用については通算する。

と規定されています。

ただし、これは、「1日の労働時間数」のみを想定した条文で、
例えば、早朝から会社Yで、働き
午後から会社Zで働いた場合、労働時間を通算する。ということになります。
→会社Zでの始業時刻等から「残業」となる場合があることを意味する。

しかし、その一方で
36協定の協定期間中、転勤した場合に、どのように取り扱うのか?を
規定した法律が今のところ、存在しません。

では、例示のケースで、法律が無いからと言って
転勤後の支店Bで、特別条項をリセットして、
1から(社員C本人から見れば、協定期間中7回目)適用しても良いかと言えば

常識的に考えて、それは出来ない(してはいけない。)と
私は考えます。

法律に記載が無いこと=しても良いこと。では無いはずですよね。

法律的なアプローチとしては、
過労死認定基準があります。

脳・心臓疾患の認定基準の概要(厚生労働省発表 平成13年12月12日)では、

「発症前1か月間におおむね100時間
 又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、
 1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が
 認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できる」

とあります。

参照↓

http://www.mhlw.go.jp/houdou/0112/h1212-1.html

1か月ごとに、残業時間数を見るため、
例示のケースでは、特別条項によっても、
残業は、1カ月60時間までとなっているので
それを守っている限りは、過労死認定基準には、当てはまらないとは
思いますが、本社Aにて、すでに550時間残業し、リセット後
さらに支店Bの特別条項で協定する500時間を適用するのでは、
残業時間数が過剰になってしまうのは、トータルで見れば同じです。

労働契約法に規定される
「安全配慮義務」との関連は重要です!

労働契約法(労働者の安全への配慮)
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を
確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。


また、すでに通算550時間残業をした社員Cは、
支店Bで、特別条項で締結した500時間を超過しているので
「これ以上は、残業できない」とも考えられるのです。

→ただ、ここは、特別条項を考慮せず、本来の36協定で締結した
限度時間までは残業を命じるのか?という企業判断が求められると考えます。

◆企業としての対策
36協定(特別条項付のケースを含む)において、

1.異動予定者の総労働時間(残業時間)及び特別条項適用時間&回数は、
  人事異動を事前検討する際の重要な材料となる。

1.転勤した社員の総労働時間(残業時間)及び特別条項適用時間&回数は
  異動前の事業所から異動後の事業所へ情報を移管する。

1.事業所ごとに締結している36協定の限度時間(特別条項時間)は、
  可能であれば、統一した時間数で、締結可能かを検討する。

異動の際の労働時間管理は、これまで日本の労務管理では
あまり考慮されてこなかった事項かと思いますが

これからは、とても重要な事項になると考えます。


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